一階が作業場、二階が住居でした。職人さんが何人かいて、よく遊んでもらいました。 道具と端材があったので欲しいものは自分で作るのが習慣になっていました。 ローラースケートが欲しかったので下駄にキャスターを付けて自作したことがあります。 職人さん達の姿が汚いと思っていいたため、将来職人にはなりたくないとおもっていました。
ソフトウェアーの制作会社で、大手企業のシステムの開発を行っていました。 自分ではあこがれの仕事に付いたつもりでしたが、内容は過酷で例えば一俵のお米の中からたった一粒の形の違う米粒を見つけるような作業でした。 モノづくりと言えば確かにモノづくりです。 しかし桐箪笥のような伝統工芸品を作るモノづくりとは違うと思いました。 それから家業である桐箪笥作りに魅力を感じるようになりました。
最初に教えて頂いたのは、道具の手入れ、刃物の砥ぎ方またそれの大切さです。 自分の手足となる道具を常にベストな状態にしておくことは、いいものを作るには絶対必要なことです。かといって道具の手入れに時間を費やしてしまっては モノを作る時間を削ってしまう。 新潟で修行していたときは早朝、バケツに入っている水が凍っていてそれを割って刃物を研いでいました。 転職をして職人の道に進んだせいか辛いとか全く思いませんでした。 それよりももっと上手に作りたい、もっと早く作れるようになりたい、そんな気持ちでいっぱいでした。 職人になりたての頃がちょうどバブルの絶頂期、今ではもう作る機会が全くなってしまった高級品を数多く手がけました。
職人は見て覚えると言ったもので、親方は弟子に仕事を教えるのではなく仕事を見せることが一番です。 私の師匠はどちらかと言うと、詳しく教えてくれる人でした。 確かにすぐに覚えられるし、分からないところは教えてくれる。 でも本当に肝心なところは言葉では伝えきれないし工程とか技術を断片的にしか教えてもらえません。 やはり師匠の段取りから作業全てをトータル的に理解できないと師匠の足元にも及ばないと思います。
平成22年に残りの人生を職人として生きる決意のもと独立開業しました。 お客様一人一人から要望をお伺いしてそれに基づいてモノづくりをする お客様が本当に欲しいと思うモノを形にする 今まで培ってきた技術も経験も全てはお客様の為にと思っています。 私が作ったものに喜びを感じ、良かったと思ってくれる人が一人でも多くなるが夢です。
氏 名:田中 英二
住 所:墨田区立花5-9-5 テクネットすみだ4F
電 話:03-6657-0627
メール:futabakiri@gmail.com
URL:
https://futabakirikoubou.co.jp/