有職畳 小宮 太郎

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小宮 太朗 / 作品

有職畳 / 工程

 名 前:小宮 太郎
 工芸品:有職畳
 住 所:東京都墨田区横網2-8-12
 略 歴:昭和29年生まれ

畳屋の三代目として、現在の地に姉が二人、弟が一人の長男として生まれ育った。
高校を卒業後、直ぐ、親元で修行。初代の祖父から手ほどきを受けた。
23歳から、東京都畳職業訓練校に入学、3年間通い卒業。畳技能士2級を取得。
昭和58年に宮内庁の仕事を請け負う。
昭和60年、宮内梅治の長女、美喜子と結婚。
以後、賢所、新御所、高松宮邸の他各種、神事用の御畳を製作。
中でも最も多く苦労したのが平成二年の大嘗祭に使われた畳の製作でした。

仕事のこだわり:こだわりと言えるほどのものはありません。畳屋として、効率や予算も考えるし、素材も新しいものがドンドン出て来ています。強いて上げれば、お客様に満足して頂ける様に常に考えています。

 人にはいろいろの価値観があり、古くからの品物の良さを伝える事は重要ですが、それを押し付ける事はしません。例えば、畳はワラ床に広島や熊本で織られたイ草の畳表を付け、寸法に合わせて、麻や、純綿の縁を縫いつけて完成したのもです。ところが、床はインシュレーションボードと発泡スチロールで出来たものに、紙や樹脂で出来た化学表をつけ、ポリエステル繊維の縁を付けているわけです。見た目はそっくりでも素材的にはまったく別物です。最近の建物の機能からワラよりボード、天然のものより、化学繊維の方が良いとされ、普及しています。

 畳本来の良さとは別の価値観ですが、伝統に培われた技術でどんな素材でも、其の素材の特徴を活かして、今の時代に生かして行きたいと考えています。

 

■ 少年時代

komiya1.jpg 絵を書いたり、いろんなものを工作するのが好きな内気な子供だったと思います。家の手伝いは良くしました。高校生くらいまで、五右衛門風呂が有って、風呂の掃除から、湯を沸かす事まで私の仕事でした。ワラを上手に燃やすのはコツが要りましたね。

 他所から貰った、古い木材を鉈や斧で割るのは今の子供たちには危険かもしれませんがちょっとした武術のようで楽しんでやっていました。そんな事が、手先や体を動かして、作業をする上での観を養っていたのかなと思います。

■ 職人になるきっかけ

 母の実家も畳屋、茅ヶ崎の叔父も畳屋、我が家は創業者である祖父がいて、私は生れた瞬間から、三代目として期待されていました。自分でもその気になって、中学生の頃から、畳を担いだり、遠くの現場へ寸法取りの手伝いに一緒に行ったりしていました。

 経済的にも早く、父の手伝いをして上げなければと長男としてのプライドが有ったように思います。

■ 職人になってから現在

 実際に家業を継いでから、想像以上に汚くて、きつくて、辛い仕事だと知りました。家内工業ですから、給料だって、お小遣いの延長のようなものでした。それでも、畳訓練校に通い、同じように頑張っている同年代の他所の畳屋さんの事も知り、勇気付けられた事を思い出します。
komiya2.jpg 昭和53年には家を建て替えることが出来て、返済の為にも必死に働きました。縁あって、昭和58年11月皇居賢所の畳工事請け負うようになって、実際の古い畳に触れたり、昔の畳作りの文献を調べる内に畳の歴史の重み、貴重さを再認識しました。

 平成2年大嘗祭の畳を請け負う機会を得た時、其の仕事の難しさや量の多さもさる事ながら、我が家にとって土地の事や、家族の引越し、病気など多くのも難問が山積する中、無事、納められた体験は畳屋としての自信になりました。しかし、それ以上に感じた事は国の大切な行事のお手伝いをする事でそういった災い等から守られたとしか、思えないような不思議な体験でした。これは本当に素直な心境であり、自分が一生懸命やったから、無事納められたというレベルではなく、感謝するしかない経験となりました。

■ 職人哲学

 有職畳は長い歴史に培われた。日本人の美意識の象徴のようにも思います。私の作ったものも殆どが永く大切に使われて、ひょっとすると何十年か百年か後の職人に見られるかもしれません。恥ずかしくない仕事をしたいなと考えています。
komiya3.jpg 日頃、畳屋として、扱っている畳は特に売りっぱなしにするような品物ではなく、数年のサイクルで裏返しをしたり、表替えをしながら長く使って頂くものです。

 お客様へ納めた後のことを考えながら、見えない部分でも丁寧に、次に仕事をする時にやりやすいよう、仕事をしています。畳はわらを圧縮して、作っていますが長年使っていると部分的に凹んでしまったり、柔らかくなってしまったりします。そういう部分を張り替える時に其の都度補修することで、納めた畳が其の家に馴染んで行くような気がします。昔とは違った素材や、使われ方にも、順応していきたいと思っています。


■ 私の目標・夢

 自分自身が受け継いだ、畳職人としての技術を受け継いでもらう努力もさる事ながら、其の畳文化を育んできた日本独自の文化、風習を大切にしていきたいと思っています。畳の生活の魅力をいろいろの角度から、見直してもらう事に力を注ぎたい。

■ 連絡先

tatami.jpg氏 名:小宮 太郎
住 所:墨田区横網2-8-12(店舗)
電 話:03-3622-6958
FAX:03-3626-1438
メール:tatami@tukuru.gr.jp
URL:http://tukuru.gr.jp/tatami/